小塚原刑場

荒川区南千住5丁目33、常磐線など南千住駅付近
  • 南千住駅に到着。
  • 江戸の北側、日光街道の入り口だよ。
  • 南側の東海道入り口には何があったか覚えてる?
  • 鈴ヶ森刑場。
  • そう、江戸の入り口には必ず処刑場があるんだよね。
  • ここには小塚原刑場(こづかはらけいじょう)があったんだよ。
  • 鈴ヶ森刑場とは雰囲気違うな。
  • 刑場跡は小塚原回向院(えこういん)の敷地内にあるんだ。
  • ねえ、延命寺(えんめいじ)って書いてあるよ?
  • 場所、間違えたんちゃう?
  • ここは元々1つの小塚原回向院だったんだけど。
  • 常磐線を通した時に南北分断されちゃったんだ。
  • 線路の北は小塚原回向院
  • 南側は延命寺になったの。
  • 刑場跡地だった延命寺には首切地蔵(くびきりじぞう)があるんだ。
  • 1741年に無縁供養のために建てられたんだって。
  • 名前は怖いけど、穏やかな顔しとる。
  • 次は、北の小塚原回向院に行ってみよっか。
  • 線路の下を通って行くと…、
  • すぐに小塚原回向院に到着。
  • ここには有名な人のお墓があるよ。
  • だれ?
  • 吉田松陰、片岡直二郎、高橋お伝。
  • ねずみ小僧の源達信士。
  • ねずみ小僧って誰だっけ?
  • お金持ちばかりを狙った泥棒だよ。
  • 高橋お伝は?
  • 日本で最後に打ち首となった女性だよ。
  • 女の人でも首切られたんや…。
  • ねえ、打ち首ってでやるの?
  • そうだよ。
  • あのさ、刀ってスッパリと切れるもん?
  • つまり…、
  • 切り損なったりするの?
  • 斬首の専門家がいたから、慣れてただろうね。
  • 専門家なんておったんや?
  • 山田浅右衛門(やまだあさえもん)。
  • 首切り浅右衛門と呼ばれた死刑執行人だよ。
  • 物騒な人やな。
  • この時代のプロフェッショナルだよ。
  • 浅右衛門は、ここで刀の試し切りも請け負ってた。
  • 試し切り?
  • 死体で?
  • 試し切りした刀は浅右衛門によって品質保証されるの。
  • 彼は刀の鑑定士でもあったし、頼りにされてたんだよ。
  • 浅右衛門は死体を持ち帰る事が許されていたから、
  • 人の内臓からを作って売ったりしていたんだよ。
  • なんの薬?
  • 結核(労咳)に効くとか。
  • 嘘や。絶対効かへん。
  • 江戸時代の結核は殆ど不治の病だったからね。
  • 藁にもすがる想いさ。
  • なんか処刑人のイメージがちがう。
  • 浅右衛門は、俳諧(はいかい)を学んだり、
  • 処刑された人達の供養活動にも積極的だったんだ。
  • ええ人みたいに思えてきた。
  • 他にも、小塚原刑場と言えば欠かせない人物がいるよ。
  • また処刑の達人?
  • 日本の歴史を変えた人達。
  • 杉田玄白(すぎたげんぱく)。
  • 前野良沢(まえのりょうたく)。
  • 中川淳庵(なかがわじゅんあん)。
  • 杉田玄白は知っとるな。
  • なにやった人だっけ?
  • オランダ語の解剖学書ターヘル・アナトミアを日本語に翻訳した人。
  • ドイツ人の医者がまとめた西洋医学書の内容が・・
  • 本当に正しいのかを確かめるために、小塚原刑場に来たんだよ。
  • そして、ここで罪人の遺体の解剖を見て確認したんだ。
  • 見て確認?
  • 解剖したんじゃなくて、見てただけ?
  • 江戸時代に遺体解剖するのは、お医者さんじゃないよ。
  • だれ?
  • 穢多(えた)という決められた身分の人の仕事。
  • 日本には手術ができる外科医がいなかったって事か…。
  • そう、杉田玄白は解剖学書のあまりの正確さに感動して、
  • 日本語に翻訳する事に決めたんだよ。
  • そして、この解体新書が日本の医療を一歩前に進めたのさ。
  • 最後の斬首刑、高橋お伝の話も聞きたい?