- 清瀬市(きよせし)に到着。
- ここ病院だらけやな。
- 地図見ながら来たら、大きな病院が10個くらいあったよ。
- 清瀬市は大病院のメッカなんだよ。
- 病院の隣が病院で、道の向かいも病院や。
- 看護学校とか、医療関係の施設も多いよね。
- あと医療研究所とか。
- なんでこんなに病院だらけなの?
- 1931年頃まではこの辺は雑木林ばかりで、
- 病院なんて無かったんだって。
- そこに清瀬病院ができたんだよ。
- ここにあったんや。
- それから8年後…、
- 1939年に傷痍軍人東京療養所ができた。
- しょういぐんじん?
- 戦争で怪我した軍人。
- 特に結核に感染した人のための、療養所だったんだって。
- この2つの病院が統合して、
- 今は国立病院機構東京病院になったんだよ。
- 結核ってどんな病気だっけ?
- よう映画とかで血吐いとるの見る。
- まず結核菌ってのに、感染するんだよ。
- 肺に感染しやすいんだって。
- それや。
- 肺だから血を吐くんや。
- 体の免疫が、結核菌を取り除こうとするんだけど、
- その時、正常な細胞ごと壊しちゃうから、
- 体がどんどん壊されていくんだって。
- どうやって治すの?
- 何種類かのお薬を投与するんだよ。
- 抗生物質?
- そう6種類くらい使うとか。
- ちゃんと治療すれば、半年くらいで完治するよ。
- 治るもんなんや。
- 不治の病みたいなイメージだった。
- ストレプトマイシンっていう抗生物質が発見されるまで、
- 治す方法がなかったんだよ。
- それ見つけたのいつ?
- 1944年。
- それまでどうやって治してたの?
- 空気の良いところで安静にする。
- 風邪みたいな治しかたやな。
- それって、死ぬのを待ってるみたいだよね。
- 治療は病院の中でやるんだけど。
- 治ってきたら、外気舎(がいきしゃ)っていうところで、
- 結核菌が完全に抜けるまで生活してたんだって。
- 東京病院の中に外気舎が1個だけ残ってたよ。
- 小さい。
- 今は使ってないの?
- 使ってないよ。
- 中にベッドとか、生活できる空間がある。
- 最近、結核とか聞かないな。
- もう過去の病気だよね?
- 先進国では結核の脅威は、殆どなくなったよ。
- よかった。
- でも、その先進国の中に・・
- まだ結核の発症率が高い国があるんだよ。
- どこそれ?
- 寒い国とかじゃん?
- 日本だよ。
- そうじゃないかと思ってた。
- ちっちゃい時、BCGって予防接種したでしょ?
- あ、それやった。
- 腕に9個の穴がプツプツ残るやつ。
- 結核の発生率が高い国では、今でもBCG接種するんだよ。
- BCG打つとアメリカとかで入国拒否されんで?
- うそぉ?
- BCG接種でツベルクリン反応が陽性になる時があるよ。
- ツベルクリンってなに?
- 結核感染の検査。
- BCGは弱い結核菌みたいなもんだから・・
- 結核菌の保持者みたいになっちゃってさ。
- いざ結核になった時、ちゃんと検査できないんだって。
- それってメンドくさい話じゃん。
- でも日本みたいにまだ結核が残る国では、
- BCGを打ったほうが発症率が下がるんだってさ。
- なんで日本って結核が多いの?
- 色んな説があるけど・・
- どれが正しいかはわかんないみたい。
- でも、結核が多いせいで、
- 清瀬市では結核関係の施設が、こうして集まって。
- 世界でも有名な、結核対策の聖地になってるんだよ。
- ここ来る時、ちょっと気になる地名あった。
- なに?
- 玉川上水って多摩川とは関係ないん?
- 玉川上水の話ならわたしに任せてよ。わかりやすく教えてあげる。