- 日本の幽霊の代表といえば?
- 東海道四谷怪談のお岩さん。
- 江戸時代に起きた事件として描かれたお話だよ。
- ほんとにあった事件?
- 少なくとも、お岩さんのモデルになった…、
- 田宮岩さんの実家があったのは、
- ここだよ。
- え?実在したんや。
- ってか神社?
- お岩稲荷田宮神社。
- 東海道四谷怪談って、どんな話だっけ?
- 登場人物が多いよ。
- まず、元塩冶(えんや)藩士の四谷左門(さもん)というオジサン。
- 塩冶藩士(えんやはんし)ってとこ重要?
- そこは覚えてなくてもいいよ。
- 左門には2人の娘がいて…、
- 姉はお岩(いわ)、妹はお袖(そで)。
- お岩さんって妹おったんや。
- そう、2人とも結婚していて…、
- 姉のお岩の夫は伊右衛門(いえもん)。
- 浮気症だし、乱暴だし、ひどい男でさ。
- 左門は、お岩(いわ)を実家に連れ戻したんだ。
- 実家ってここ?
- ここは田宮家の屋敷の敷地内にあった、
- 小さな屋敷社だったらしいんだ。
- 妹は?
- 妹のお袖(そで)は、佐藤与茂七(よもしち)と結婚。
- 与茂七(よもしち)は、優しい人だったんだけど貧乏でさ…、
- お袖(そで)は遊女のような仕事で家計を支えてたんだ。
- 遊女(ゆうじょ)って娼婦?
- うん。
- でもお袖の事情を知っていた雇い主は、
- そういったサービスはナシで、働かせてくれていたらしい。
- キャバクラ嬢みたいなもんか。
- そのお袖には、しつこい客が付きまとっていてさ。
- 薬売りの直助(なおすけ)って名前なんだけど。
- もう、お岩の結婚相手の名前忘れちゃった…。
- 伊右衛門(いえもん)だよ。
- 伊右衛門は、お岩を実家から取り戻しに来たんだ。
- そしたら、お岩のお父さん左門(さもん)が阻止して、
- 伊右衛門が政治基金を横領した話を、持ち出したんだ。
- なんか複雑だぞ?
- その話をバラされたくない伊右衛門は左門を殺した。
- 一人目の殺人や。
- 一方、お袖の事が好きな薬売りの直助は…、
- 付きまとってたストーカー男か。
- お袖の夫、与茂七(よもしち)が、
- 飲み屋から出てくるところを目撃。
- そして、与茂七を殺したんだ。
- 2人目の殺人事件や。
- 殺したのは与茂七の服を着た別人だったんだけど、
- ストーカー男は気付かない。
- その別人は災難やな。
- その2つの殺人現場が近くで、偶然鉢合わせたんだ。
- そこで、2人の殺人者は口裏を合わせて手を組む事にした。
- それで?
- ちょうど、そこに帰ってきたお岩とお袖。
- 2人の死体を見て悲しむ姉妹に、
- 伊右衛門と直助は、
- 2人は辻斬りにあったと嘘をついたんだ。
- 辻斬りってなに?
- 通り魔殺人だよ。
- そんな偶然に通り魔が通るもん?
- 江戸時代は、侍が刀の切れ味を試すために、
- 通りがかった人を殺す事があったんだよ。
- うわ、怖っ。
- そして、お岩はまた伊右衛門の元に戻り。
- お袖はストーカー男の直助と、一緒に暮らすようになった。
- ひどい展開や。
- まもなく、お岩は伊右衛門の子どもを産むんだけど。
- なかなか体調が戻らずに、寝てばかりいるようになるんだ。
- だんだんお岩が鬱陶しくなってきた…、
- そんな伊右衛門に一目ぼれする女が現われたんだ。
- だれ?
- 家臣(かしん)の孫、お梅。
- ねえ、伊右衛門ってモテる?
- イケメンらしーよ。
- 家臣は伊右衛門をお岩と別れさせて、
- お梅と結婚させたかったらしい。
- だから、顔が崩れる薬を伊右衛門に渡して、
- それをお岩に飲ませるように言ったんだ。
- お岩は、伊右衛門にもらった薬を飲み続ける。
- なんで顔が崩れる薬なんか?
- お岩の顔が崩れれば、伊右衛門が別れると思ったんだよ。
- お梅と結婚したら出世させてやると家臣に言われて、
- お岩が邪魔になってくる伊右衛門。
- 家臣って偉い人?
- 身分が高い人やな。
- 伊右衛門は按摩(あんま)の男にお岩を誘惑させて、
- 不義密通させようと目論む。
- なんだ?不義密通(ふぎみっつう)って?
- お岩に浮気させようとしたんやろ。
- 按摩の男がお岩に近付くと…
- お岩の顔がひどく崩れているのを見たんだ。
- 怖くなった按摩の男は、全部バラしちゃった。
- 話を聞いて、悶え苦しんだお岩は、
- 間違って刀が首に刺さって死んじゃうんだ。
- 按摩の男が殺したんじゃないんだ…。
- お岩が死んで身軽になった伊右衛門は、
- お梅と結婚して出世。
- 伊右衛門ムカつく。
- 姉が死んだ事を知らされたお袖は、
- ストーカー男の直助に仇討ちを約束してもらって、
- 体を許してしまうんだ。
- 気持ち悪くなってきた。
- そこに、生きてた夫の与茂七(よもしち)が帰ってきて…、
- お袖は夫が生きてた事を知ると、辛くなって、
- もつれあう与茂七と直助の刀にわざと刺さって、
- 自殺しちゃうの。
- 悲劇に悲劇が重なってく感じやな…。
- 死に際に、お袖は生き別れた兄がいる事を告白するんだけど、
- その兄とはストーカー男の直助だったんだ。
- 直助、実の妹と寝てしまったんか。
- 直助はそれを知って自殺。
- 登場人物が慌てて死に始めたぞ。
- 伊右衛門のほうはどうなった?
- お岩の幽霊が、しつこく伊右衛門の元に現われるもんだから、
- 何もかもがお岩と、父の左門の幽霊に見えて、刀を振り回してさ。
- 間違えてお梅と家臣を殺してしまい、逃げだすんだけど…、
- お岩の幽霊とネズミの大群に追い詰められて、
- 気が狂ってしまうんだ。
- なんでネズミ?
- 江戸時代当時、ネズミが異常発生してたんじゃない?
- 最後は、仇討ちに現われた与茂七に殺されるの。
- で、話は終わり?
- とりあえず悪人はみんな死んだよ。
- てか、与茂七以外みんな死んどるがな。
- この神社はお岩さんとどんな関係があるの?
- お岩さんの呪いを鎮めるための所?
- ちがうよ。
- この続きが気になるでしょ?